眩しさの中、最初で最後の恋をした。
「宏樹さんって、高校に入ってから呼んだらすっごい凹んでたよね?」
大人になってきたし、呼び方は考えないとと思って改めてみたらかなりのショックと悲壮な顔をして宏樹くんはお願いしてきた。
お願いだから、せめて宏樹くんで。
今まで通りヒロ兄ちゃんでも良いんだよ!って言ってくれた。
その時宏樹くんは新社会人。
とっても大人に見えたから、今までの呼び方はやめようかと思ってのことだったがそれはいらぬ考えだったらしい。
それを話すと、お姉ちゃんは思い出したのかクスクス笑って言った。
「あれね!宏樹ってひとりっ子だから私と付き合ってから出会った有紗が可愛くて仕方ないのよ。妹が出来たと思って可愛がってて、お兄ちゃんって呼ばれてすっごい喜んでたのよ」
確かに宏樹くんはいつも可愛がってくれてて、お土産やら受験の時は家庭教師のように教えてくれた。
お姉ちゃんが文系を理系は宏樹くんという受け持ちで勉強したおかげで、私はかなり助かったのだった。
「妹同然に可愛がってた有紗にさん付けで呼ばれて、距離取られたみたいでショックだったらしいわ。だからヒロ兄ちゃん呼びに戻したら歓喜の涙だと思うよ」
ニヤニヤ笑っていうお姉ちゃんに、考えたあと言った。
「それ、オネダリする時に有効だね?」
「確かにね」
こうして夏休みの予定は楽しくなりそうな感じだった。