眩しさの中、最初で最後の恋をした。
そうして試合が始まった頃、要くんと蒼くんもテニスコートにやって来た。
二人は練習着姿なので、どうやら部活中にグラウンドから抜け出して来たみたい。
「二人とも、お疲れ様」
声を掛ければ、二人もニッコリしつつ首にかけたタオルで汗を拭いながら答えてくれる。
「有紗ちゃんも、この暑い中お疲れ様。日菜っちどう?」
蒼くんは試合の始まったコートを見つつ言う。
「まだ、始まったばかり。交流引退試合だからワンセットマッチなんだって。すっごく気合い入ったみたい」
言いながら私は手提げを見せて、微笑む。
「有紗の美味しいおやつの差し入れ付きなら、日菜子も俄然やる気出すだろ」
ニヤリと笑った要くんに、蒼くんも頷いて言う。
「有紗ちゃんの手作りお菓子美味しいもんね!そりゃ日菜っち、やる気だわ」
会話をしつつも、私たちの視線の先には今日も楽しそうにテニスをしている日菜子の姿がある。
スポーツを楽しむ友達の姿は、キラキラと夏の日差しの中で輝いてる。
コールを聞けば日菜子が先にポイントを取った。
しかし、今日の対戦相手は因縁の相手。
そのうち追いつかれ、激戦の上日菜子は今日雪辱を晴らした。
見事勝利を勝ち取って仲間と笑い合っている日菜子。
素敵な試合を見られて、私も自然と笑みが浮かぶのだった。