眩しさの中、最初で最後の恋をした。

三年の試合が終わるとちょうど昼になり、みんなお昼休憩を挟んでから下級生の交流戦になるようだ。

それを見越して、私と日菜子は急いで調理室に戻り差し入れのフルーツポンチと取り皿、スプーンを携えてグラウンドへと戻った。

「蒼くん!差し入れだよ!!」

そんな日菜子の掛け声に、サッカー部の部員がワっと喜びの声が上がる。

私もお皿などを持って更にタッパーにごっそり詰まったフルーツを抱えていると、要くんが走ってきて荷物を持ってくれる。

「調理室からここまで重かっただろ?言ってくれれば運んだのに……」

少し、眉根を寄せている。
そんな顔もちょっと不満げなのに、カッコイイ。

「試合で一時間駆け回ったあとの選手に声掛けれないわよ。お疲れ様。初めて見たけどカッコよかった……。もっと早く知って、たくさん見とけば良かったって思ったよ」

微笑んで言えば、要くんは薄らと頬を染めつつ言葉を返してくれた。

「それは、俺も少し残念だけど。有紗とはまだこれから沢山思い出作るし、一緒に過ごすだろ?」

その言葉に私は微かに笑みを浮かべるだけにとどめた。
私は日菜子にも蒼くんにも、要くんにもしっかり話せていないから……。

「この夏沢山遊ぼうね!」

そう、確かに出来ることにしか答えられなかった。



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