眩しさの中、最初で最後の恋をした。

クラスに入れば黄色い声が上がる。
蒼と一緒に居ると大体そんなもんで、三年同じクラスにいれば慣れているとはいえ少し面倒でつい、顔に出てしまう。

すると、名簿をしっかり見ていなかったが今年は久しぶりに幼なじみの瀬名日菜子と同じクラスになったようだ。

クラスの真ん中あたりで机に突っ伏してる日菜子が見えた。
そんな日菜子に気付いたらしい、蒼が小声で耳打ちしてくる。

「おい!担任より何より瀬名さんと同じクラスって教えといてくれよ!やっぱり今年はラッキーだ!」

小声だけれど喜びに弾む声が、蒼のテンションの高さを教える。
高校に入ってすぐ幼なじみの日菜子と騒がれて、互いに面倒に思い距離を置いた。

勝手知ったる幼なじみは、前の席の女子と仲良さそうに話して抱き着いていた。

あいつにも仲のいい友達が出来てたんだな。
少し安心して見つめていると。

「お!瀬名さんと一緒に居るの、家庭科部のマドンナじゃん!」

ん?その言葉に俺が疑問顔になると、蒼が教えてくれる。

「お前、その辺疎いもんな!家庭科部のマドンナ、汐月有紗!穏やかで優しい性格で、ほんわかした雰囲気とその清楚な見た目で男子人気ナンバーワンだぞ?」

そう言うと、俺の肩を抱いてまた耳打ちしてくる。

「因みに、どんな男がアタックしても玉砕の高嶺の花だ。瀬名さんとは去年から同じクラスで二人は仲良しだ!要、マドンナと仲良くなるチャンスだぞ」

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