眩しさの中、最初で最後の恋をした。
「おはよう、有紗。体調はどう?」
そう声を掛けてきたのは、この学校の養護教諭、田中美智子先生。
先生だけれど、実は私の叔母でもあるので校内で周りに生徒がいない時は名前呼びである。
今朝も早めの登校なので周りには生徒がいない。
「おはよう、美智子叔母さん。暑さに参ってるけれど病気の方はまぁ、まだ大丈夫」
ニコッと答えれば、叔母さんも微笑んで話してくれる。
「そう、今月は体育祭もあるから。そういう時は過大持って保健室にいらっしゃいね」
体育祭の練習になると授業がほぼ体育になる。
私は病気のことを考慮して去年から診断書も出して、体育の授業は免除されている。
だからいつも見学なのだけれど、体育祭の練習となると一日外に居るのも大変なので、別教科の課題を持って保健室で勉強させてもらっている。
そんな保健室の主たる養護教諭が身内なので、そういう時そこでは結構ゆるっゆるな感じになってしまっている。
「そうだね、今年も体育祭当日以外は保健室にお邪魔するかも」
「普段の体育の時間も来てても構わないのよ?」
その叔母のお誘いには首を横に振って、言った。
「友達が楽しそうに運動してる姿を見るのも好きだから、普段の時は良いの。それに体育祭の練習風景は保健室から見えるしね」
私の返事に叔母は納得するかのようにひとつ頷く。
「それなら、良いのよ。ただ、何かおかしいと思ったらすぐに来なさい。いいわね」
その叔母の言葉に頷いて、私は叔母と別れて自身の教室へと向かった。