眩しさの中、最初で最後の恋をした。
そんな、ことを思い出しつつ言えば日菜子がガックリ項垂れた。
「また、テストなのぉ。やっと課題終わったのに……」
今年は受験生だから夏の課題は少ない方だったのだけれど、日菜子はそれも叫びながら頑張っていた。
二日前まで毎日我が家に通って、課題を頑張っていたのだ。
そして、夏休み終了前日にやっと終わったのである。
「大丈夫。夏休みの課題が出来てれば模試はそんなに難しくないよ」
励ますと、ガバッと顔を上げた日菜子はニコニコしている。
「あ、でも今回もう部活動停止とかないから死ぬ気で頑張らなくても!」
キラっと思い出したように輝かしい表情で言い出した日菜子に蒼くんが言った。
「あれ?日菜子は受験しないの?」
問われた疑問に日菜子は答える。
「私は実家を手伝うから良いのよ!」
どうやら日菜子は家業の手伝いをしていくみたいだ。
それならこの地元を離れないんだなと思う。
日菜子のうちは、工務店でリフォームやらから、新築まで施行する地域密着型の工務店で日菜子のお父さんは豪快な職人って感じの人だ。
「日菜子、お前オヤジさんになんて言われてたんだ?」
ギクッと肩を跳ねさせた日菜子は、要くんを見つつ言う。
「模試で校内で半分より上になるようにすることが実家の工務店への就職条件です……」