眩しさの中、最初で最後の恋をした。
三年の第一走者は女子で赤組は日菜子。
二番目でバトンを受けた日菜子は、ぐんぐんとスピードを上げて前を走ってた青組の女子を追い抜いて次の走者の蒼くんへとバトンを渡す。
「蒼、いっけぇー!」
そんな日菜子の叫びとともに受け取ったバトンを握って、蒼くんはぐんぐん走り抜ける。後続の走者と距離を広げてアンカーの要くんにバトンを渡す。
「見せつけてやれ!」
さすがアンカーに選ばれるだけあり他の色もみんな早く、バトンを受けると次々に走り出し要くんとの差も少し縮まっていく。
それでも要くんはバトンを受けた後は後ろを見ることもなく、風と一体になるような、軽やかな走りで駆け抜けてゴールテープを最初に走り抜けた。
その姿はとても眩しくて、私は目をそらすことなく見つめ続けた。
赤組のリレーメンバーに囲まれながら、笑顔を浮かべて語らう姿も。
今日は終始かっこよくて、眩しくて。
そんな要くんをたくさん見ることが出来た。
リレーでも勝利を収めた赤組は今年、総合優勝を果たした。
日菜子や蒼くん、要くんの活躍は大きくクラスのメンバーにももみくちゃにされつつ、閉会式を終えて教室へともどる。
そこには先生が約束してくれたシュークリームとジュースがあった。
「みんな、よくやったな!おつかれさん」
こうして、笑顔でみんなで甘くて美味しいシュークリームを食べて楽しく高校最後の運動会を終えたのだった。