雨夜の星に、願いひとつ
chapter.1 カレじゃない人
当たらない天気予報なんかより、ずっと高い確率で
あなたとは出会った時から、こうなるような予感がしていた。
* * *
「相沢 夢希(あいざわ ゆき)さん。週に4日希望ですね」
テーブルに広げた履歴書が、エアコンの風でかすかに揺れている。梅雨入り前とは思えないほど、今年はやけに蒸し暑い。
「はい。できれば平日に入れると嬉しいですんですけど」
アルバイトの面接なんて何年振りだろう。少し緊張しているせいか、声が掠れた。
すると40代くらいの女性店長は空気をなごませようと思ったのか、突然おかしなことを尋ねてきた。
「彼氏いるの?」
「え?」
わたしは目をぱちぱちさせる。
「平日希望ってことは、土日は彼氏とデートでしょ?」
「あ、いえ、彼氏というか――」
「おはようございまーす」
あいさつと共にドアが開き、わたしの視線は反射的にそちらへ移動した。
部屋に入ってきた男性と、目が合う。
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