雨夜の星に、願いひとつ
ロマンチックの欠片もない短冊の連続に、わたしは思わず肩を震わせて笑ってしまった。
ここがスタッフルームだということも、すっかり忘れて。


「楽しそうですね」


不意打ちの声に、氷水をぶっかけられたように飛び上がった。


「し、柴崎さん。いつからいたんですか」

「ギャルのパンティーあたりからです。俺も休憩なんで」

「お疲れさまです……」


おーまいがー、恥ずかしい。ひとりで笑ってるなんて痛い人じゃん。

柴ちゃんがパイプ椅子に座り、わたしだけ突っ立っているのも変なので、もうひとつの椅子におずおずと腰を下ろした。


柴ちゃんが一息ついたように、ペットボトルの炭酸水をごくごく飲む。甘味料が入っていない無味の炭酸水で、わたしも大好きでよく飲むものだ。
でも賢二郎には「味がないのに何がおいしいの?」っていつも言われる。

同じの飲んでる人、初めて見たな……と意味もなく嬉しくなっていると、柴ちゃんがおもむろに口を開いた。
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