雨夜の星に、願いひとつ
なんだろう、やっぱり様子が変だ。気まずい沈黙をどうにかしたいけど「何かあったんですか?」と聞くのもおせっかいな気がする。
でも、もし体調が悪いのだとしたら無理してほしくないし……。

よし、思いきって聞こう!

と決意したちょうどそのとき、柴ちゃんが先に言葉を発した。


「相沢さん、田中と仲いいんですか?」

「……へ?」


まったく予想していなかった質問に、ぽかんと口を開けてマヌケな反応をするわたし。

たなかくん?
いきなりなんで彼の名前が出てくんの?

柴ちゃんの表情から少しでも意図を読み取ろうと、わたしは彼の横顔を見つめる。だけどそこには固い能面みたいな顔があるだけで、感情がうまく伝わってこない。


「えっと、まあ、それなりに仲良くしてると思うけど」

「そういう意味じゃなくて、あいつに口説かれてないですか?」

「はあ?」


さらに予想のななめ上。あまりに突拍子なさすぎて、わたしはつい笑ってしまった。


「ないない、あるわけないじゃないですか」

「そう思ってんのは相沢さんだけだと思いますよ」

「ありえないって~。だいたい、田中くんから見たらわたしなんて4つも年上なんだし」

「俺は、歳なんか関係ないと思います」


ふいに柴ちゃんの顔がこちらを向いた。思いがけず真剣な瞳がそこにあり、わたしは息をのんだ。


「相沢さんは年下だめですか」

「え……」
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