雨夜の星に、願いひとつ
二度、三度と、少しずつ場所を変えて触れる唇。鳥肌がわたしの全身を這い上がり、昂りの渦のまんなかに放り込まれる。

足がよろめきそうになって、すがりつくように柴ちゃんの服をつかんだ。


「やめ……」

「全然抵抗できてないくせに」


耳元で指摘する声と、熱い息。わたしをここまで追い詰めているのは彼なのに、その彼だけが、わたしを救ってくれるような感覚に襲われる。

体の芯から途方もない熱が放射して、自分ではどうすることもできなかった。


「本当はもう受け入れたいんだろ? 俺のこと」


反論の余地もないほど、言い当てられて。動揺よりむしろ安堵を覚えた。

そうだ、わたしはもう受け入れてしまいたい。何もかもから解放されて、愚かな女として愚かなあなたを受け入れてしまいたい。


きっと最初から、世界の片隅の仄暗い穴に落ちていくような関係だった。


好きなんて言う資格はないし、愛なんて呼べるわけもない。

正しさからは程遠く、終着点すら存在しない。

ただ、わたしたちは今同じ場所にいて、あなたは男で、わたしは女で。

あやまちも醜さも無意味ささえも、ふたりで笑い飛ばしてしまえるのなら――

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