雨夜の星に、願いひとつ
「……柴ちゃん」
うつむいていた視線をゆっくり上げた。息がかかるほど近くに彼の顔があって、その切なげに震えるまつ毛や、語るより触れるためにそこにあるような唇を、じっと見つめた。
彼の影が重なってくるのと同じ速度で、瞳を閉じる。
いつのまにか雨が、わたしたちを閉じこめるように降り注いでいた。
とめどなく肌を流れる雫
世界を遮断する雨音
まぶたの裏にだけ輝く星――
天の川だ。
今、この瞬間、この場所が。