雨夜の星に、願いひとつ

【休憩中です。いそがしいよー。賢二郎もお仕事がんばってね】


短いメッセージを作成し、スタンプと一緒に送る。
ついでに友達のSNSを一通り確認し終えたわたしは、手持ち無沙汰になって何となく部屋を見回した。

デスクの上に目をやると、色とりどりの細長い紙が透明の箱に入っているのを見つけた。


「……七夕の短冊?」


そういえば店長が話してたっけ。七夕に向けて、お客さんに願い事を書いてもらってるって。

各個室に短冊とペンを置いているのは知っていたけど、誰がこんなの書くんだろうって内心思っていた。意外にけっこう書いてくれる人がいるんだな。

わたしは適当に何枚かの短冊を手に取り、そこに書かれた文字に目を落とした。


【億万長者になれますように】

【A君が彼女と別れますように】

【10㎏やせたい!!】


……なんか、予想以上にみんな欲望丸出し。七夕ってもっとロマンチックな行事だと思ってたんだけど。
中には願い事とも呼べないような、おかしな短冊も混じっている。


【牛肉、にんじん、玉ねぎ、じゃがいも】

え……えっと、カレーかな?

【トイレに行きたい】

行けよ。

【ギャルのパンティーお~くれ~】

ドラゴンボールのウーロン!
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