ペット
彼のこと、愛しているのか?
いいえ、恨んでいる。

この恨みは底のない海のように
広がっていく・・・極端に辿り
着くと、愛に変えたかもしれない。

すごくややこしい気分に
なっちゃった。

この眩暈は何だろう?

「ねぇ・・・圭と同じ景色を見て
いるような気がする。」って自分
がいつかそう言っていたって瞳は
そう思っていた。この言葉は何回
も繰り返して頭に出てきたの。

「俺が見ているのは真っ暗しかな
いから、視界のなか目が翳んでゆ
く。だから、俺が見ている景色は
とても寂しいから。」

「圭はどんな色が好きなの?」
絵を描くのが大好きな瞳は絵が
とても上手く描ける圭にそう尋ね
てきた。

「どんな色が好きなのか、分からない
かも。色使いに耽溺しているんだ。
この世の色はなかなか汚い。見え
てる?純粋な色はもう見えない。
だから、どんなに絵がうまく描け
ても好きな色がなかなか見つから
なくて、絶望だ。」

この音は消える前に、はるか彼方
へ届いて、嵐になったの。

「圭、ちゃんと聞こえた?君の
ずっと探してきた純粋の色を見せて
やる。ねぇ、この色好きなの?
鮮やかな赤。瞳の血の色。温かい
色だから、もう寂しくないよね?」

記憶はここまでしかない。
血っていう言葉を思いついた。
「血?」

あー赤がこの体で広がっている。
赤い波が一気に崩れたみたいに、
この体を打ち寄せる。
瞳が見たのは自分の体だ。
この一瞬、周りの空気が凍り
ついた。

「あー」瞳は叫んだ。



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