初恋の君と、最後の恋を。
去年のクラスではそれなりに仲の良い友達がいて、一緒になって簡単な種目に手を挙げてジャンケンに勝った。
今年はそれすらも面倒だ。
机に額をつけて動かない雅美は夢の中だろうし、成り行きを見守る。
主要競技であるリレーの立候補者がゼロであり、委員長が困っていた。
クラスから2名を選出し、学年を超えてチームを編成する。勝利した際の得点も高い。
「リレーをやってくれる人いませんか?」
声を張り上げた委員長の視線から逃れるように全員が下を向く。
私もリレーだけは嫌だ。
目立ちすぎる。
「委員長やれば?」
クラスの誰かが唐突にそう投げた。
「そうだな、委員長やれよ。俺らにやれと命令する前に、自分でやってみろよ」
長い髪を2つ結びしている委員長はどう見ても文化系で、確か漫画部に入っていた気がする。
クラス中が嫌な空気に包まれる。
運動神経が良い生徒が引き受けてあげたら良いのにと、困り顔の委員長を見て思った。
けれど私も何かを言える立場ではないため、そっと下を向いて誤魔化した。