初恋の君と、最後の恋を。
「俺だったら、諦めないよ」
「それでも一生、恋は叶わないんですよ。1%の望みもないんですよ」
傍に居られるどころか、海を隔ててしまう。
駅までの道のり、言葉を交わしながらゆっくりと進む。
「俺、鈴宮先生を追い掛けて聖可高校に入ったんだ。1年の頃はそれこそ毎日好きだと告げていたけど、その内に彼女は良斗のことしか頭にないことに気付いた。すごく気に入らなくて良斗にはたくさん嫌がらせした。1番最低なのは、制服のままプールに落としたことかな」
鈴宮先生?
その話は雅美にはしないで欲しい。
「未だに好きだし、卒業できなくてもいいからもう1年、先生の傍に居たいと思うんだよね」
彼が勉強をしていない理由は先生なのかな。
雅美はすごく心配していたのに。
「もちろん望みはないし、春嶋ちゃんの気持ちはよく分かるよ。嫌いになんてなれないしな。だからもう仕方ないから、俺は好きだと伝え続けることにしたよ。黙って引き下がってなんてやんねぇ」
「相手に迷惑だと言われても?」
「それで引き下がれるような、簡単な思いじゃないからな」
簡単は思いじゃない。
確かにその通りだ。
冷たくされて、フラれたくらいで、
この心は動かない。
今までの黒瀬先輩が彼の作り出した虚像と言うのなら、ホンモノの黒瀬先輩を見てみたい。
ーー見せて欲しい。