初恋の君と、最後の恋を。
相馬先輩の元へ行こうと誘ったけれど、雅美は言い訳をして動こうとしなかった。
私もさすがに嫌いな相手とお昼は食べたくないと配慮して、食堂には近付いていない。
校舎の隅に置かれたベンチで昼食をとる。
「また相馬先輩、シュート決めたね」
校庭では暑い中、懲りずにサッカーボールを追い掛ける男子生徒の姿がある。
雅美は両膝を立ててサンドイッチを食べながら先輩を見ていた。
鈴宮先生のことはあるけれど、雅美の恋は応援したい。
仁くんを傷付けてまで自分の気持ちを優先したんだ。
私も負けられない。
後1年弱で卒業してしまう黒瀬先輩。
春までと期限を決めてしまっていたけれど、そんなの関係ない。
心の思うままに追い掛けるよ。
覚悟して、黒瀬先輩!