初恋の君と、最後の恋を。

トマトベースのシンプルなパスタは、食べ続けても飽きない美味しさと懐かしさを感じた。


美味しい。

久しぶりに温かい食事を口にしたな。



「デザートも頼んであるからね」


「うわ、ありがとうございます!」


店内を見渡す。
敷居の高いレストランではなく、家族連れも多く見られた。

美味しい食事をおしゃれなレストランで堪能している場合でないことは分かるけれど、腹が減っては戦はできないと言うし…。


「たまたまお店の前を通りかかると足を骨折したウエイターの代わりに期間限定でのバイト募集の案内が貼ってあってね。お世話になることにしたんだ」


「さすがです。いつまでですか?」


彼の英語は本場でも通じると言うことか。
私とは全然違う。

それに私はもう英語の勉強をする必要はないのかな。


「夏休みいっぱいはこっちにいるよ」


後2週間。
私は明後日に日本に帰ることになっている。
お父さんはもう少しゆっくりしていけば良いと言うけれど、私もバイトを休んでいるから早く戻らないと。

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