初恋の君と、最後の恋を。

4月からずっと、一方的に好きと言い続けて、少しも相手にされなかったのに。


「信じられないのですが…先輩は私のどこを好きだと…?」


辛うじて聞き返せた質問に、柔らかく笑った先輩に胸が高鳴る。




「教科書を破り捨てる姿を見て、感情のままに動ける君が羨ましかった。俺に真っ直ぐに気持ちをぶつけられる君が、羨ましかった。今はその羨ましい気持ちが愛おしさに変わってる。俺にないものを君はたくさん持っていて、どうしようもなく惹かれてるよ」


思えば最初に声を掛けてくれたのは先輩の方だった。
最初からみっともない姿を見せていたな…




「答えは夏休み明けに聞かせてよ。君がいい返事をくれるなら、全力で君を守ると誓う」



黒瀬先輩の言葉が口約束ではないことは信じられる。先輩には約束を守れるだけの、考察力も行動力もある。

私にはもったいない人だ。



夏休み明けかーー


でも本当はもう、答えなんて出ている。


考えなくても、心が叫んでいる。



黒瀬良斗が好きだって、ずっと叫び続けているんだ。


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