初恋の君と、最後の恋を。

溜息が聞こえた。


「アイツから日本に残ってと止められたら、きっとあんたはそうするよ」


嘘がない親友の言葉を一蹴することはできなかった。


黒瀬先輩に引き止められた時に自分がどんな行動をとるか、想像ができない。

まぁ、そもそも、

「先輩がどうして私を引き止めなきゃならないのか、イメージすらできない」


「へぇ」


話を振った側とは思えない程、どうでも良さそうな返事だ。


「とにかく今は、先輩との買い物のことを考えて」


「いいよ」


「本当に!?」


昔から面倒なことにはノータッチだった親友とは思えないほど、あっさり頷いてくれた。



「あんたとアイツの恋を応援する」


力強い言葉。


え、そっち?

まずは買い物を…。


それでも雅美が味方をしてくれるのであれば心強いと嬉しく思った刹那、


「あんたを行かせたくないから」


雅美の本音が漏れた。


「だからあんたを唯一止められる先輩との恋を、応援してやるよ」


ツンデレ感満載の彼女の発言が可愛くて、思わず笑ってしまった。

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