初恋の君と、最後の恋を。
こちらの心配をよそに親友はすっと頭を下げた。
えええーー?
「私の唯一の友達で、親友なんです。宜しくお願いします。優しくしてあげてください」
照れ隠しなのか早口だったけれど、その言葉に胸が熱くなる。
「その代わり、泣かせたら殺します」
言葉とは裏腹に
顔を上げた雅美は笑っていた。
八重歯をのぞかせて笑いかける雅美に、先輩は頷く。
愛らしい笑顔。
雅美が久しぶりに笑ってくれたことが嬉しいが、そんな可愛い顔を見せたら黒瀬先輩まであなたのトリコになってしまいそうで少し怖い。
自慢は親友は、とても怖く、とても可愛く、コロコロと表情を変える。
「いい友達を持ったね」
「はい!」
黒瀬先輩の言葉に大きく首を縦に振る。
雅美は本当に大切な親友だ。
頑張れと背中を押してくれている。
よし。
買い物に行く日、きちんと好きになったきっかけを伝えて、もう一度告白して恋に破れよう。
未練なく留学出来るように。