初恋の君と、最後の恋を。
虹原 仁(にじはら じん)
彼は私の幼馴染であり、
6歳年上の婚約者だ。
春からの留学先で、私は仁くんと一緒に住むことになっている。
近い将来、仁くんと家族なるのだ。
ワガママな私は黒瀬先輩のことを想ったまま、仁くんの元にはいけないと彼に話した。
だから彼は私に1年の猶予をくれた。
先に日本を離れた仁くんには申し訳なさでいっぱいで、だからこそ絶対に仁くんを裏切ってはならない。
「こめんね…こんな恋人、嫌いにならない?」
『なに言ってるの。僕は菜子が好きだよ』
「ありがとう。残りの時間は、花嫁修行に費やします」
『無理しない程度に頼むよ』
矛盾しているって分かってる。
黒瀬先輩を想うことは、仁くんへの裏切りだ。
いくら仁くんが許してくれていても、"好き"以上は有り得ない。
私が先輩と"付き合う"ことは許されないのだ。
それだけは絶対にーー。