ワケありヤクザと鈍感少女
「俺の事2人してなめやがって〜!む〜っ

……あ、自己紹介だったね!

俺は、天崎 竜騎(あまさき りゅうき)。

気軽に竜騎って呼んでね。沙綾ちゃん!」

苗字は違うんだ・・・。

そんな疑問は置いといて、まずは謝る。

「・・・ご、ごめんなさい。竜騎さん。」

謝る私を庇うようにして響也さんが言う。

「・・・なめてるつもりは無いぞ。竜騎。」


「・・・まぁ、その子可愛いから許しますけど!


特別だからね!

俺と話す時は敬語もさん付けもなしで!」

「・・・あ、うん!竜騎・・・くん!」

ヤクザっぽくない可愛らしい彼のことを

私はくん付けで呼ぼうと決めた。

「・・・あぁ、かわいいなぁ。

俺のかわいい子ランキングの

トップ3には入るなぁ。沙綾ちゃん。」

そう言うとやみくもに、

私の手をすりすりし出す竜騎くんの額を

響也さんは少し不機嫌そうな顔で、殴る。

「・・・痛いっすよ兄貴!!」

「・・・初対面でそんなに密着するな竜騎。」

響也さんは竜騎くんを私の手から払う。

「・・・はーい。

というか、さあやって・・・」

(…え?)


・・・私は彼と知り合いでももちろんないし、

会ったことは1度もない。

「・・・さて、自己紹介も終わったことですし


帰りますか。組長。」

竜騎くんの質問をさらーっと無視し、

帰ろうと言い出す神楽坂さん。

「そうだな。

よし、帰るか。」

「・・・竜騎、車の準備頼む。」

「はいはーい。」

そう言って竜騎くんは、玄関の前に止めてある

黒塗りの高級車へと向かう。

「では私も準備を。」

「・・・あぁ、頼む。」

そう言うと神楽坂さんは外へと出ていった。

そういえば・・・


「あの、響也さん。これ・・・。」

私は彼から受け取ったネックレスを返す。

「・・・ありがとな。」
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