ワケありヤクザと鈍感少女
…体が凍えるように冷たい。

冷蔵庫にでも入れられているような気分だった。

誰かがいる…。


龍谷軍か…?

俺は、この雨の中死ぬのか・・・。

死を覚悟したその時・・・



「・・・あ、あの。大丈夫ですか?」

と、俺の耳に届いたのは女の声だった。

何も喋らない俺を気にしたのか、

その女はしゃがみこみ、俺の顔をのぞき込む。

その女と、目が合う。

(・・・!)



その瞬間、俺の体に稲妻が迸った。

・・・大きな目の下にある小さなホクロに、

綺麗に切りそろえられた前髪。

心配そうに俺を見つめる目。

・・・その女の容姿は、とてつもないくらい、

あいつに似ていた。

気のせいだと自分に言い聞かせる。

が、激しい頭痛と目眩で、遠のく意識の中、

俺は自然とその女の体を求めていた・・・。



・・・そこで俺の記憶はまた切れた。
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