ワケありヤクザと鈍感少女
- 組の仲間入り -
「・・・沙綾、着いたぞ。起きろ。」
優しい声が頭に響く。
「・・・ん」
その声で私はゆっくりと体を起こす。
「あ、私重かった・・・よね」
「・・・すっげー重かった。」
思わずムスッとしてしまった。
すると、響也さんはニコニコ笑いながら
「・・・軽かったから大丈夫。」
と言いながら私の頭をよしよしする。
そんなやりとりをしていると、
「・・・沙綾さん。どうぞ。」
と、神楽坂さんが車のドアを開けてくれた。
「・・・ありがとうございます。神楽坂さん。」
神楽坂さんは表情を変えず、一礼した。