ワケありヤクザと鈍感少女




私は、気づかないうちに寝てしまっていた。

重たい体を起こすと後ろから低い声が届く。

「・・・起きたか。」

「・・・はい。」

そう言うと、響也さんは私の方へと近づいてくる。

そして、私の目の前に座る。

「さっき何が起きたんですか?響也さん。」

「鈴木組の敵対グループの奴らが攻め込んできただけだ。」

響也さんは当たり前のように淡々と告げる。

「怪我は・・・」

「怪我したやつはいない。」

「・・・よかった。」


私は、ほっとした。


「沙綾、風呂はいってこい。

で、今日はもう寝ろ。疲れただろ。」

「は、はい。入ってきます。

・・・お、お風呂ってどこに」

「風呂の場所は匡に・・・」

その名前に私は顔が少し歪む。

それに気づいた響也さんが私の顔をのぞき込む。

「どうした、沙綾。」

「あの、匡さんって人怖くて・・・」

そう言うと、響也さんは

「あー」 と言うと、

「あいつあんなんだけど、根はいい奴なんだ。

ただ極度の女嫌いで・・・

・・・まぁ今日は俺が連れてく。行くぞ。」

と言って私の手を強引に引く。
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