ワケありヤクザと鈍感少女
「…着きましたよ。お嬢さん。」

「・・・あ、あ、ありがとう。」

蚊の鳴くような声で早口でお礼を言った。

「・・・ん?なんて?」

「・・・あ、ありがとう!

・・・ございます」

意を決して大きな声で感謝の言葉を繰り返す。

すると、

「どういたしまして。


…また帰る時連絡しろ。」

「は、はい!」

ぽんぽんと私の頭を撫でて匡は車へと戻っていく。

通りすがっていく女子たちが匡を見るや否や

「え、あの人って・・・鈴木組の・・・

なんでこんなとこに?しかもあの子なに?



…てかめちゃめちゃかっこよくない?」


「まじでかっこいい。いい匂いしたし・・・」

と、話題になっているのにも関わらず、

当の本人は全く興味が無いのか、

ものすごい勢いで車を出す。
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