ワケありヤクザと鈍感少女
「着いたぞ…。降りろ。」

「…ありがとう。お兄ちゃん」

車を降りると、匡はムッとした顔で

「…匡さん。」 と言った。

「…ご、ごめんなさい。匡さん。」



「おかえり、沙綾。」

「…おかえりなさい。沙綾さん。」

「…戻りました。響也さん、神楽坂さん。」

響也と神楽坂さんが優しい笑顔で、

私と匡を出迎える。


「…俺、車戻してくるんでお願いします。

お疲れ様でした。沙綾さん。」

さっきまでムスッとしていた匡の表情は無くなり、私と神楽坂さんに笑顔を向ける。


「…ありがとうございました。匡さん。」


「…沙綾さん。中へ入りましょう。」

そう言うと、神楽坂さんは匡を気にかける私を家の中へと通す。
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