ワケありヤクザと鈍感少女
「…竜騎くん。」

振り返ると、そこには

真剣な表情をした竜騎くんが立っていた。

「…なんで私こんなに自由制限されなきゃいけないの?なんで…なんで」

竜騎くんがしゃがみこみそっと私に言う。



「兄貴が君のことを想ってやってる事なんだ。」


「…え?」

(私の…ため?)

「…私の自由を制限する事が私の為なの?」

「…それは違う。」

竜騎くんは優しく淡々と話を続ける。

「兄貴のこと助けてくれた時に、

沙綾ちゃんの家に来たよね、厳つい奴ら。」

「…うん。」


「あいつら実は厄介な軍団でね…

1回会った人の顔は絶対に忘れないんだ。」


「…それって」

「沙綾ちゃんは顔を覚えられてる。

…しかも沙綾ちゃん蹴り飛ばしてたから

きっと、あいつの記憶に鮮明に残ってる。」

その時私は初めて

自分が大きな誤解をしていた事に気づいた。


「響也さんはその人たちから私を守る為に…」

竜騎くんは静かに頷く。
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