ワケありヤクザと鈍感少女
「あ、バレちゃいました?

名案だと思ったのになあ…くそっ」

悔しがる竜騎くんに変わって響也さんが言う。





「…俺と遊園地デートだな、沙綾。」

「…え」

(…きょ、響也さんとで、デート!?)

「えええええ!ほ、ほんとに!!??」

「…なんか文句あるか?」


「文句はないけど…」


「組長、それは…」

「大丈夫だ。神楽坂。」

心配そうな表情で見つめる神楽坂さんの言葉をを響也さんは遮る。

「…じゃ、一緒に行く予定だったその男には

断りの電話入れとけ。」

「…う、うん。」

(陽龍怒らないかなあ…怒るよなあ…)

陽龍に電話をかける。

『もしもーし。どしたー?沙綾」

「あ、あのね、遊園地の件なんだけど…」

『ミラコッタがどうかしたかー?

てか、お前何乗るか考えとけよー!あっち着いてから決めてたら時間なくなるからさ。』

(……断れない。)

楽しそうに話す陽龍に

「他の人と行くことにした」

なんて言える勇気はなかった。
< 54 / 55 >

この作品をシェア

pagetop