保健室にて

遮るようにドアが開いた。
「松本くん、木村さん。体調はどうかしら?」
保健室の高橋先生だ。
「だいぶ良くなったんで戻ります」
「あら、良かった。次は無理しないようにね」
ペコっと一礼して彼は出て行った。

「あの人松本くんって言うんですか?」
「あれ、てっきり知り合いだと思ってた。カーテン開けて何かお話してたみたいだし」

「さっきはじめて会いました。」
「あらそうなの。」
「松本一哉くんっていうの。もともと体が弱い子でね、うちの常連なのよ」

常連って言い方はどうなんだ。
「なぁに木村さん、彼のこと気になってるの?」
いたずらっぽい顔をする。
高橋先生は少し子供っぽいところがあると、生徒間ではもっぱらの評価だ。

「先生、私も良くなったんで戻ります」
「はぁい、また来てね~」
だからその言い方はどうなんだ?

「松本くんか...」
そう呟いて私は教室に戻った。
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