伝説に散った龍Ⅰ
どこかで見た光景だ。
と心の奥で思いながら、みんなを見つめる。
なんだかよく分からないけど、みんなが喜んでくれたみたいで良かった。
あの頃の感じを、少し取り戻せたみたいで嬉しかった。
「みんな、ありがとう」
これは、心の奥底からの、感謝の言葉。
伊「よし、じゃあもう出よっか。芹那ちゃん、レシート、ある?」
芹「うん、あるよ。ちょっと待ってね」
ごそごそ、とジャケットのポケットを漁る。
それは、レシートを探すためであって、決して、アレを出すためではなかった。
行き着いた、その先の感覚が
しっかりしなかったのがいけなかった。
スッポンと、引き抜いたその手に握られていたのは。
────煙草。