伝説に散った龍Ⅰ





芹「あ、」



ーーしまった。



そう思うのには、遅すぎたのかもしれない。



…このジャケット、こんなに使ってなかったっけ?



だいぶん前、私がアイツらのとこにいた時。



私は一時期、あいつらを真似て煙草に手をつけていた。



まだその時は、中坊だったけど。



それが、黒龍や伊織にこんな形にばれちゃうなんて。



伊「…………たば、こ、?」



伊織の落胆したような顔から、
目が、離せない。



こんなことになるなら、煙草なんてやめておけば良かった。



そうやって
今更後悔したって、
ーーもう遅い。



芹「ごめんね、伊織。
やっぱ、引いちゃう、よね。」



滞った空気の中、画面から流れてくる機械音だけが、その場に響いていた。



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