伝説に散った龍Ⅰ
返事のしようがなくて、
顔を上げられなくて。
伊織がどんな顔をしているか、
想像がついちゃって。
ほら、軽蔑した、冷たい、か、お…?
芹「え?」
私は顔を上げる。
そこには、満面の笑みを浮かべた伊織。
伊「芹那ちゃん。
そんなに、思い詰めたような顔しないで。
煙草如き、黒龍のみんなが吸ってるの見たことあるよ。
私、自分から不良の世界にいるって決めた。飛び込んでったのは私だもん。
煙草なんかで、芹那ちゃんのこと軽蔑しない。
私、かっこいいものが好きなの。煙草もね、見ようによっては、かっこいいの一種だよ。それがさ、
芹那ちゃんなら、私にとって、もちろん。
かっこいい、って思えるんだよ。」
伊織は、そう言って笑う。
芹「伊織…」
爽「そうだよ、芹那ちゃん。伊織が、芹那ちゃん嫌いになるなんてありえない。
俺よりも芹那ちゃんだよ、伊織は。」