伝説に散った龍Ⅰ





【芹那side】



あの日、
伊織に距離を置くと言って、



彼らを突き放したあの日。



あれから、3週間ほどがたった。



まだ関係は改善されるどころか、その予兆すらないのに



なぜか、私は6人と屋上にいる。



「なんのつもり」



大きく、冷たくため息を吐いた。



これ以上、自分が傷つくのを防ぐために、
伊織や彼らを傷つけてしまうのを



…防ぐために。



「突き放したのはそっち、だから離れたんだよ。言ったじゃない?金輪際近づきません、って



なのに、どうして私は拉致られてるの?
イマイチ状況がつかめません。



説明してくれる?」



水月柚を睨んだ。
水月はそんな私を見て、



瞬時に跪く。



「悪かった、言いすぎた。
俺なりに反省した結果だ。



許してくれなんて言わない。
だから、伊織とだけでもいい。
仲直り、



してくれないか…?」



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