伝説に散った龍Ⅰ
ふふっ、と
ひとつ、
私は薄笑いを零す。
“それ”は、どこか儚げで、
まるで自分を嘲笑っているようで、
それを発している自身でさえ、
何に向けたものなのか分からないまま
ただ口元にうっすらカーブを描いた。
「だから……なに」
こうやって、
素直になりきれない私自身が、時々本当に嫌になる。
「だから、って、伊織ともあんたとも仲直りして、仲良しになろう、って?
…そうやって、手のひら返すの?
認めてくれたのは、嬉しいし、
感謝するよ。
…だけど、謝ってどうすんの?
って、話じゃない?」
ごめん、水月
こんな風にしか、私はあんたを正してやれない。
こんな風でしか、
自分を保ってられないんだ。
ーーごめん。