伝説に散った龍Ⅰ
Ⅲ/世那
あれから、少しして。
まださすがに正式な仲間、とまでは行かないものの、
少しずつ距離を縮めていった私たち。
烈は、半ば強引に、
柚と桃と爽は自然と呼び捨てになっていた。
爽に関しては、そこまで仲良くはない、と思う。
桃は、普通に結構べったりしてくるし、
柚は、少しずつではあるが私と仲良くしてくれようとしている。
なのに、だ。
爽だけは違う。
二人きりになれば態度は歴然としている。
探るように一つ一つ、私から何かを吐き出させるように。
まるで、
私に、何かがあることをわかっているかのように。
伊織は好きだし、伊織には悪いけど
どうも、好きになれない。
あいつの、あの作り笑顔も、
伊織の前だけ見せる優しい顔も。