伝説に散った龍Ⅰ
滞った雰囲気に耐えられなくて、そう切り出す。
全員が座ったのを確認して、私はそっと瞬きをした。
なんだか落ち着かなくて、
それを自分に言い聞かせるように
深呼吸。
まだ、慣れない。
この、空気に。
「世那。
私、ね。
正直言って、今が楽しい。
どの過去と比べたって、私にとっての今が、すごく幸せに感じてる。
ただ。
暴走族、っていうのは、やっぱり
なんかね、違うんだ」
思ってたのと、結構ちがくて。
上手く、言葉が繋げない。
私たちは、いつから、
いつから姉弟じゃなくなった?
唯一の肉親と話すのがこんなに辛いなんて
…悔しい。
それ以上に、自分が憎い。
「なぁ芹那」
ーー芹那には、俺の知らない過去が、あるんだよな…?
口は勝手に動く。
「ないよ、そんな大それたもの。」
嘘つかないで。
あるでしょ、
世那にも諒二にも絶対言えないような、膨大な、過去。