伝説に散った龍Ⅰ
冷蔵庫を開け
私はふと、あることに気がついた。
「うわ、…何にもないじゃん」
…食材が、ないのだ。
晩御飯のためには食材は必須。
世那と諒二に一言声をかけ、
私は買い物に出かけることにした。
外に出る。
そこには、満天の星たち。
街灯の明るい光にも負けず、美しい光を放っていた。
「…っ」
LEDが煌々と輝くその先に、
暗闇があって、
私はその闇に吸い込まれるように、黒に溶けて行った。
「…いつまでも悲劇のヒロイン気取ってんじゃダメだよね。
よし、ファイト、私っ」
真夜中、暗闇の中で叫ぶ私は、傍から見れば完全なる変人。
早足で、スーパーへと向かった。