伝説に散った龍Ⅰ
この、行為自体、
柚の過去に触れることと一緒。
そう思って、ふと、足を止める。
いいのかな。
勝手に、人の心に土足で踏み込んで、
助けるから、って。
だけど、でも。
もう、ここまで来ちゃったんだよね。
ーー行くっきゃ、ない。
首を、横に振った。
否定と、肯定。
どちらかと問われれば、どちらとも言える、
そんな、曖昧な動き。
「なに、してるの、?」
その言葉に、柚があからさまに顔を顰める。
「芹那こそ、んでここにいんだよ」
明確な拒絶は、今のとこ見えない。
どこかで、覚悟は出来てるんだろうけど。
「たまたま、だよ。通りかかっただけ。
…その子は?」
くいっと、顎で彼女を示した。
「え、私」
とでも言うように動揺する美少女を見るの、それはそれで面白い。
「芹那には関係ねえだろ。早く帰れよ、今日は世那と諒二さんたちいんだろうが」