伝説に散った龍Ⅰ
「ねえ柚!この子誰!?
彼女作んないでって言ったじゃん!
約束、したじゃんか!!」
ヒステリックな喚き声。
あーあ、私、
嫌われちゃったかな。
「ねえ柚!柚ってば!!
私の事、
ーー好きって言ってくれたじゃんっ!!」
その場の空気が、凍りついたような気がした。
柚が、女の子を、好き…?
あの、女嫌いの柚が。
この子のことを、好きだった、って?
「…裏切ったのは、
…お前じゃねえかよリルハ!!
もう遅いんだよ、
謝られたって、遅いんだよ!
まだ気づいてねえの?気づけよ!!
お前と俺の関係は、もう二度と修復出来ないとこまで来てんだよ
、認めろって!!!」
柚は叫ぶ。
悲痛な、声で、
悲痛な、表情で。
「もう、いいよ!なんでこうなっちゃうのよ…!
柚なんか、好きになんなきゃよかったっ!」
リルハ、そう呼ばれた少女は、電光石火の如く暗闇の中へ紛れて行った。
そして、柚の方を向けば、静かに涙を流していた。
「…あの子、柚のことほんとに好きなんだね」
私の言葉に、柚は嗚咽を漏らしながら泣き始める。