伝説に散った龍Ⅰ
ーー『人殺しっ!!』
ーー二人が死んでから、1度たりとも私の前で感情を現そうとしなかった弟は
『ーーお前が死ね!!』
二人の死顔を見て、
いざお焼香を上げようという時に初めて
私の顔を真っ直ぐに見て
狂ったようにそう叫んだ。
私の目からはもう、
涙は流れなかった。
まだ中学生だった弟が、
行く宛てもなく家を飛び出してしまった。
正確には『私から逃げた』という方が正しい。
どこでどうやってご飯を食べて寝ているのかは分からない。
知らないし、当然教えても貰えない。
もう一度会いたいと
思わないわけがないのに。