伝説に散った龍Ⅰ
少し曇ったガラスに映る、
緑の光。
なんだかそれさえも霞んで見えて、
心が冷たくなる。
ーー芹那、どっか行くか、
あいつの声が、頭を掠める。
だめだ、もう。
私はあそこには、
────戻っちゃいけないんだ。
肌寒い。
冬だし、雨だし、濡れてるし。
いつにも増して寒い。
手を広げてみた。
そこにすら、体温を感じなかった。
もう、だめ。
こんなに、冷めてーー
一歩、足を踏み出す。
途端、
横から轟音が響いた────
伝説に散った龍Ⅰ【完】