伝説に散った龍Ⅰ
ss

カラオケ






[お時間、10分前となりますが、延長なさいますか?]



「えっと…」



全国チェーンの大規模カラオケ店、
「猿も木から落ちる」、通称
「サルオチ」。



そこの一室に、私たちは来ていた。



そして、時は順風に流れ、従業員の女の人の声に答えることが出来ないまま数秒。



どこからともなく訪れた沈黙に、私は



「お願いします…」



と答えた。



というより、“答えざるを得なかった”、という方がきっと正しい。



ガシャン



わざと音を立てて受話器を置く。



「はぁ。
、でさ、結局、私は何を歌えばいいの?」



私がついた溜息は、程よい程度でこだました。



世「捧げ唄を歌うんだよっ」



伊「ちーがーうーよ!
芹那ちゃんは花を歌うの!!」



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