愛されたい、だけなのに。〜卒業から少し経ったお話〜
真夏に出会った、女の子
柳先生…ううん、圭吾くんの夢だったカフェが、この夏オープンした。
思っていた通り、店内は女の子ばかりの大盛況。
「圭吾くん!今日も来ちゃった!!」
「いつ見てもカッコイイ!もうここに住みたい!!」
「彼女さんとかいるんですか?」
カウンター越しに、いつも圭吾くんはお客さんに質問攻めにあっている。
その光景を夏休みで大学が休みの間は、裏方で店を手伝いながら聞いているわけだけど…
「圭吾ったら、若い女の子にデレデレしちゃって!ここに、マナちゃんがいるっていうのに!!」
「!お母さん」
店内へと繋がる扉の前にいると、背後から圭吾くんのお母さんが怒った様子で話掛けてきた。
「ここはホストクラブじゃないのよ、全く!」
「あはは」
「まぁ、昼間はお客さんのものだけど夜はマナちゃんのだからね!」
「!?」
お母さんの言葉に、顔が真っ赤になる。
「もし、マナちゃんが嫌なら言ってね。いつでも、圭吾なんか追い出すから」
「いやいや…そんなことは…」
絶対ない。
柳先生…いや、圭吾くんを嫌がる人なんかいない。
それに、居候なのは私だから。
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