愛されたい、だけなのに。〜卒業から少し経ったお話〜





「櫻井、大丈夫か?」


「!?」



扉の前でボケーっと考え事をしていると、いつの間にか目の前に圭吾くんがいた。



「え…あれ、お母さんは?」

キョロキョロと、さっきまで隣にいたお母さんを探す。



「何かランチに行くって出てった」

「ランチ!?」

そんなことさっき言ってなかったのに。


「ぼーっとしてるけど夏バテか?」

「!」

圭吾くんの大きな手が、頬にそっと触れた。



「大学休みなのに手伝ってもらって悪いな。もし、体調悪かったら上で休んでていいから」


私の大好きな優しい優しい笑顔で、目を合わせながら圭吾くんが言った


ドキン。


ドキン。


「だ…大丈夫です!私、買い出し行ってきます!!」


ドキドキし過ぎて、圭吾くんから一歩後ろに下がりそう言った。


「そっか、ありがとう。気をつけてな」



手を振ると、圭吾くんはまた店内へと戻って行った。






「…はぁー」


いなくなったと思ったら、思わず出てしまった長い溜め息。




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