俺の好きな人は、俺の兄貴が好き。
プロローグ




「涼~!今月のもう買った!?」

「当たり前じゃん!
朝コンビニ寄ってゲットしてきたし!

あぁー…、本当ASAHIくんかっこいい…」





9月1日、今日から新学期スタート。

久しぶりの教室は今日も賑やか。
……でも、俺の好きなやつは相変わらず紙の中のこいつに夢中だ。


「よう、涼すけ」

「……だからその呼び方はやめなさいよ!」


こいつ、荒木涼は高校で知り合った女子。……俺の、好きな女。


男っぽい名前だなとからかってるうちに、いつの間にか好きになってたという
俺は小学生か!と言いたくなるくらい、ベタな惚れ方をした。

好きな子にはちょっかい出したい性分らしい。


「お前まだこいつのこと好きなのかよ。
変わってねぇなぁ」

「うるさいわ!
……碧翔も、相変わらずね。この夏休みでもう少しまともな男になってるかと思ったけど」

「はぁ?俺は十分いい男だっつーの!」

「冗談は顔だけにしなよ。
ったく…あんたのお兄さんはあんなにかっこいいのに、どうして弟はこうなるかね…」

「…るせぇよ!」


俺の兄、といっても双子の片割れ
飛鳥は中学の頃からバンドを組んでいて、そのボーカルとして活躍をしていた。
……まぁ、そうはいっても素人には違いないんだけど、それでも飛鳥の人気はすごくて
文化祭のステージでも、ライブハウスでのライブでも、路上ライブでも女の子でいっぱい。


どうして双子なのにこうも違うのか、俺も知りたい。



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