俺の好きな人は、俺の兄貴が好き。
「それはさ、碧翔がいいやつだから、じゃん?
碧翔が友だちを選んでるんじゃなくて、碧翔がいいやつだから、碧翔とこれからも友だちでいたいから
みんなそんなことどうでもいいんだよ。
芸能人と家族だからじゃない。
碧翔だからなんだよ」
俺に向かって穏やかな顔でそう言う涼すけの顔を見て、俺は自然と笑顔になった。
なんで涼すけ、こんないいやつなんだろって、俺の心にすっと溶け込んでいく。
「それにさ、一番地味とか自信ないとかいうけど
今日碧翔の演技見たら碧翔めちゃくちゃかっこよかったよ」
「え、本気で?」
「うん、本気で。
あれ見たあとみんなでめっちゃ練習したんだろうねーって話したんだけど、そうやって真面目に練習して、堂々としてる碧翔、ちゃーんとかっこよかったよ。
もっと自信もっていいと思うけどね。
あんだけハイスペックな家族いたら自信なくなるのもわかるけど、でも碧翔も十分自信もっていいと思うよ」
「…なんか、今日やたらと嬉しいこと言ってくれるじゃん」
いつも優しいけど、生意気なことも言ってくる涼すけなのに、どうして今日はこんなうれしいことばっか言ってくれるんだよ
照れんじゃねーかよ
「そりゃまぁ、嫌われたくないし―?」
「はぁ?」
嫌いになる、なんてありえねぇっつーの。
どんだけ俺お前といるの好きだと思ってんだよ
「だって碧翔、なんかどっかいっちゃいそうなんだもん」
「は?意味わかんねぇって」