俺の好きな人は、俺の兄貴が好き。
「だってなんか、今までずっと対等だったのに
急にみんな碧翔のこと知って
今まで飛鳥くんの相方、くらいな立場だったのに
急にみんな碧翔のことを意識するようになったから
碧翔が人気でて、どっか行っちゃいそうで
もっと優しい子のこと行っちゃいそうなんだもん」
「はー?俺どんだけ信用ねぇんだよ!
俺いつも涼すけとか、あいつらと一緒じゃねぇか!」
「いやそういうことじゃないって」
そう言いながら教室に向かうんだけど、その道のりが、なんかきつかった。
あっちから見られ、こっちから噂をされ
「あの、」
なんか、知らないやつから声をかけられる。
正直、いちいち相手にしてるのとか面倒なんだけど
でも俺のせいで親にも兄貴にも迷惑かけたくないから
「俺?」
ちゃんと、答えるようにした。
「あ、はい!
あの…ASAHIくんのサインほしくて…」
…うん、まぁそうだよな。
そうやって言ってくるやついるよな。
兄貴の人気、今すげぇもんな。
その家族が身近にいたら頼みたくなるよな。
わかるんだけどさ。
わかるんだけど、間に挟まれてる俺の気持ち、ちょっと考えようぜ。
「あー…うん」
俺がこれ受け取って、兄貴にもらってきて、またお前んとこまで持ってくわけだろ?
それ超だるいやつじゃん。
俺になんのメリットもないじゃん
「碧翔、受け取ることないよ」
「え?」
受け取ろうと、こいつが差し出したノートを受け取ろうとしたら、そのノートを隣にいた涼すけが名前も知らないこいつに突き返した。