俺の好きな人は、俺の兄貴が好き。

『まぁ、今日あんま遅くなるようなら迎え行くから。
補導されるような時間にはなるなよ』

「さすがにそこまで遅くはならん!」

『じゃ、気を付けてな』

「あ、父さん」

『ん?』

「…昨日、ありがと
今日超うまくいったわ」

『はは、それはよかった。
碧翔は演技の才能あるよな。
やりたいことないまま大学行くくらいなら、役者になればいいのにと思うけどな、俺は。
まぁ芸能界なんてクソだから、強くはすすめないけど』

「…芸能界ねぇ。興味ないわ」

『そ、まぁなんでもいいけど』


そんな話をしていたら、涼すけが教室に戻ってきた。
もうそんな時間たったのか…


「…じゃあ友だち来たし、俺行くわ」

『あぁ、碧翔。
告るなら胸張って堂々と言えよ』

「…うっせ!」


俺はそう言って、電話を切った。


「涼すけ、お疲れ」

「あぁ、うん。ありがと。
碧翔はみんなと一緒に行かなかったの?」

「あー…
今日ファミレスからカラオケに変更になったから、涼すけ待ってた」

「あ、そうなんだ。別にLINEでもよかったのにー」


・・・いやそれは俺も思ったよ。
でもみんなが俺を置いていくから、仕方なかったんだよ…


「まぁでも、私も碧翔に話あったからちょうどいいや」

「え、話?」


涼すけはそう言いながら帰り支度を始めた。
いろんなものをカバンに突っ込んで。


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